2026年7月14日、経済産業省で第6回の健康経営推進検討会が開かれ、令和8年度の健康経営度調査と認定申請書の改定案が示されました。ここで議論されている内容が、次の認定——健康経営優良法人2027の中身になります。中小規模法人部門の申請受付は例年、夏の終わりから秋にかけて。つまり、いまはちょうど「静かな準備期間」の最後の局面です。
今年の改定方針は「回答負担の軽減」
公表資料や各種の解説を見るかぎり、令和8年度の改定は回答する側の負担を減らすことを基本方針に置いています。内容が重複していた設問を統合したり、何を答えればよいのかが分かりにくかった箇所の回答例を見直したり、といった方向です。申請数が年々増える一方で「設問が多い」「負担が重い」という声が続いてきたことへの、率直な応答と言えるでしょう。
ただし、負担軽減イコール要件の緩和ではありません。報道や解説によれば、大規模法人部門ではホワイト500の認定要件が再構成され、長時間労働への対応を問う設問も刷新されるなど、実質的にはハードルが上がる部分もあるとされています。評価の重心が「取り組みをやったかどうか」から「どう回して、どう振り返ったか」へ寄っていく流れは、中小規模法人部門にも遠からず及ぶと考えておくのが自然です。
なお、検討会で示されるのはあくまで改定案の段階のものです。最終的な認定要件と設問は、経済産業省および健康経営優良法人認定事務局の公表資料で確定します。申請前には必ず公式の最新版を確認してください。
受付開始を待たずに、いま揃えられる材料
スケジュールの感覚をつかむために、前回を振り返っておきます。健康経営優良法人2026の中小規模法人部門は、2025年8月18日に受付が始まり、10月17日に締め切られました。今回も例年どおりであれば、受付開始まで残り1か月ほどという計算になります。
ここで大事なのは、申請書に書く内容の多くが前年度から今年度にかけての実績だという点です。受付が始まってから慌てても、過去の記録は増やせません。逆に言えば、いま手元にある材料を整理しておくだけで、秋の作業は驚くほど軽くなります。具体的には、次の3つです。
ひとつめは健康診断まわりの数字と記録。受診率はもちろん、所見があった従業員への事後措置や再検査のフォローをどう回したか。この部分は以前の記事で詳しく書きましたが、健診は認定でも基本の評価項目にあたるところです。
ふたつめは実施した施策の「いつ・誰に・何をしたか」。研修を開いた、運動の機会をつくった、相談窓口を案内した——やったこと自体は覚えていても、日付と対象者と参加人数まで残っている会社は多くありません。案内メールや社内掲示の画像を、フォルダひとつにまとめておくだけで十分な材料になります。
みっつめは経営者の意思表示と、その周知の証拠。健康宣言を出しているか、それが従業員に届いているか。朝礼で話した、社内報に載せた、掲示板に貼った。こうした地味な事実の記録が、申請では効いてきます。
「直前に慌てる」を、仕組みで防ぐ
毎年この時期に相談をいただくなかで、いちばん多い困りごとは要件の難しさそのものではなく、材料が社内に散らばっていることです。健診結果は総務、研修の記録は各部署、宣言書はどこかのファイル——探すところから始まるので、申請作業が実際の何倍もの重さになってしまいます。
対策はシンプルで、置き場所と様式を決めてしまうことに尽きます。エクセルでもクラウドの共有フォルダでも構いません。担当者が代わっても同じ場所に同じ形で溜まっていく——それだけで、来年以降の申請はぐっと楽になります。ブライト500などの上位区分を視野に入れるなら、この積み上げがそのまま差になります。
稀の健康経営ポータルには、ヒアリングに沿って項目を埋めていくと申請の下書きと証憑の整理ができる認定支援の機能を用意しています。認定の可否をお約束するものではありませんが、「どこに何があるか分からない」状態を抜け出すための道具としてお使いいただけます。
おわりに
健康経営優良法人の認定は、取ること自体がゴールではありません。とはいえ、申請書を書く作業には、自社の取り組みを一度棚卸しして言葉にするという、思いがけない効能があります。毎年これを続けている会社は、認定の有無にかかわらず着実に足腰が強くなっていきます。
受付開始までの数週間は、材料を集めるにはちょうどよい長さです。まずは今年度の健診の受診状況と、この1年で実施した施策のメモを、ひとつのフォルダに集めるところから始めてみてください。準備の進め方や自社の現在地の整理は、お問い合わせフォームからご相談いただけます。
本稿の内容は執筆時点(2026年7月26日)の公開情報に基づきます。認定要件・申請スケジュールは今後変更される可能性がありますので、申請にあたっては経済産業省および健康経営優良法人認定事務局の最新の公表資料をご確認ください。
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