小規模事業者持続化補助金〈一般型・通常枠〉の第20回公募で、「健康経営優良法人加点」が新たに設けられました。健康経営の認定を持っている事業者が、補助金の採択審査で加点の対象になる——という仕組みです。健康経営は長らく「余力のある会社がやること」と見られがちでしたが、認定が別の場面で効いてくる例がまたひとつ増えました。この記事では、その中身とスケジュールの逆算を整理します。

何が新しくなったのか

第20回の公募要領は2026年5月27日に公開されました。今回の変更点はいくつかありますが、健康経営に関わるのは「健康経営優良法人加点」の新設です。同時に「地域別最低賃金引上げ加点」も新設されており、国が政策的に後押ししたい取り組みを、補助金の採択審査で評価する流れが強まっています。

実務上ありがたいのは、この加点が自動で判定される点です。公開されている解説によれば、GビズIDの登録情報と認定情報をもとに判定される仕組みとされています。認定証を別途スキャンして添付する、といった手間は想定されていません。認定を持っているなら、申請時に取りこぼしのないよう項目を確認しておくだけで済みます。

なお、加点項目は「重点政策加点」と「政策加点」に分かれており、選べる数に上限があります。あれもこれもと選択すると、かえって加点審査の対象から外れてしまう、という指摘も出ています。どの区分に何が含まれ、いくつまで選べるのかは必ず最新の公募要領で確認してください。この点は解説記事によって書きぶりに幅があり、私たちも原文で確認できた範囲を超えて断定はできません。

締切から逆算する——12月15日だけを見ていると危ない

第20回の日程は、申請受付が2026年11月5日(木)から12月15日(火)17時までと案内されています。ここだけ見ると「まだ3か月ある」と感じるかもしれません。ただ、持続化補助金にはもうひとつの締切があります。

商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)の発行受付締切が、2026年12月4日(金)とされています。申請本体の締切より11日早い。しかもこの書類は自社だけでは作れず、窓口との相談が前提になります。年末が近づくほど窓口は混み合いますから、実質的な勝負どころは11月中と考えておいた方が安全です。

ここに健康経営のスケジュールを重ねると、話はもう少し込み入ってきます。健康経営優良法人2027の申請受付は2026年8月17日に始まり、中小規模法人部門の締切は10月中旬と案内されています。そして認定結果が出るのは、例年どおりであれば年明け以降です。つまり、いまから2027の認定を目指す会社にとって、その認定が第20回の申請時点で手元にあるとは限りません。

加点の判定がどの年度の認定を対象とし、いつの時点で判定されるのか——ここは公募要領の原文で確認できていないため、断定を避けます。すでに健康経営優良法人2026の認定をお持ちの会社は、その扱いを窓口で確かめてみてください。まだ認定がない会社は、第20回で無理に間に合わせようとするより、次の回以降を見据える方が現実的だと思います。

認定は、補助金のために取るものではない

誤解のないように書いておきたいのですが、加点があるから健康経営をやる、という順番はおすすめしません。認定の要件は、健康診断の受診率や事後措置、労働時間の把握といった、日々の積み重ねが問われるものです。加点だけを目当てに形を整えても、その手間に見合う何かが社内に残りにくい。

とはいえ、認定が実利につながる場面は着実に増えています。就労ビザ申請でのカテゴリー区分の優遇、自治体や金融機関の独自制度、そして今回の補助金加点。ひとつひとつは小さくても、同じひとつの取り組みが複数の場面で効いてくるのが健康経営の面白いところです。「従業員のためにやったことが、会社の資金調達や採用にも返ってきた」——そういう順番であれば、健全だと思います。

補助金の相談は、どこへ行けばよいか

ここも線を引いておきます。持続化補助金の申請そのものについては、地域の商工会・商工会議所が一次窓口です。様式4の発行も含めて、まずはそちらにご相談ください。事業計画の作成支援を業として行う専門家(中小企業診断士・行政書士など)もいます。私たちは補助金申請の代行を行う立場にはありません。

私たちがお手伝いできるのは、健康経営の側です。認定の要件をどう読むか、社内の取り組みをどう記録として残すか、健診やストレスチェックの実施状況をどう可視化するか。申請は会社自身が行う手続きであり、認定を保証することもできませんが、その準備を整えるところは伴走できます。

おわりに

補助金の加点表に「健康経営」の文字が並ぶようになったのは、この取り組みが社会的に評価されるものとして定着してきた証だと感じます。数年前なら、健康経営の話を持ちかけても「うちにはまだ早い」と返されることがほとんどでした。いまは、採用でも、金融機関との対話でも、こうした制度の場面でも、名前が出てくる。

今年の第20回に間に合うかどうかは、会社の現状によります。焦って形を作るより、まずは自社が来年どの位置に立っていたいかから考えてみてください。そこが決まれば、いつまでに何を始めるかは自然と見えてきます。

健康診断の記録の整理や、ストレスチェックの実施体制でお困りでしたら、健康経営ポータルもご覧ください。ご相談はお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

本稿の内容は執筆時点(2026年8月14日)の公開情報に基づきます。加点項目の詳細な要件・対象範囲・選択できる数、および申請スケジュールは、中小企業庁および持続化補助金事務局の公表する公募要領を必ずご確認ください。健康経営優良法人の申請スケジュールについては、ACTION!健康経営ポータルサイトおよび事務局の公表資料をご確認ください。

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