「健康経営優良法人をとると、外国人社員のビザがとりやすくなるらしい」——そんな話を耳にしたことはないでしょうか。半分うわさのように広まっている話ですが、結論から言えば、これは制度として本当です。この記事では、出入国在留管理庁の「カテゴリー」制度のしくみと、審査が厳しくなっているいまだからこそ認定が持つ意味を整理します。
就労ビザ審査の「カテゴリー」とは
「技術・人文知識・国際業務」(いわゆる技人国)など多くの就労系在留資格では、申請時に受け入れ企業が4つのカテゴリーに区分され、カテゴリーによって提出書類の量が大きく変わります。上場企業などが属するカテゴリー1では提出書類が大幅に簡素化される一方、設立間もない中小企業が属するカテゴリー4では、事業計画書まで含む多くの書類が求められます。
そしてポイントはここです。出入国在留管理庁は、「健康経営優良法人」に認定された企業をカテゴリー1として扱うことを明示しています。健康経営優良法人は、ユースエール認定やくるみん認定などと並ぶ、カテゴリー1に区分される認定制度のひとつなのです。上場していない中小企業がカテゴリー1に入る、数少ない現実的なルートと言えます。
カテゴリー1になると何が変わるか
いちばん大きいのは提出書類の簡素化です。カテゴリー3・4で求められる登記事項証明書や決算文書などの多くが不要になり、申請準備の負担が軽くなります。書類の不備による差し戻しのリスクが減ることは、採用スケジュールの読みやすさにも直結します。
誤解のないように書いておくと、カテゴリー1になっても審査そのものが免除されるわけではありません。本人の学歴・職務内容と業務の関連性といった実体的な審査は変わらずに行われます。「必ず許可される」制度ではなく、「信頼性の高い企業として手続きが軽くなる」制度、と理解するのが正確です。
いま、審査は確実に厳しくなっている
この優遇の価値を高めているのが、近年の審査厳格化の流れです。2025年10月には経営・管理ビザの要件が大幅に引き上げられ(資本金要件の引き上げ等)、厳格化後の新規申請数は前年同期比で9割超の減少と報じられました。技人国についても、業務内容と学歴の関連性などをより丁寧に見る運用が指摘されています。
採用した外国人材のビザが下りるかどうかが読みにくい時代に、企業側の信頼性を公的な認定で示せることの意味は、以前より確実に大きくなっています。人手不足のなかで外国人材の採用を考える中小企業にとって、健康経営優良法人は「福利厚生の看板」にとどまらない実務的な武器になります。
認定には締め切りがある——逆算を忘れずに
注意したいのは、健康経営優良法人の認定は年1回のサイクルだということです。例年、夏から秋に申請し、翌年3月に認定発表という流れです。「来月ビザ申請があるから急いで認定をとろう」はできません。外国人材の採用計画があるなら、1年前からの逆算で認定取得を仕込んでおく必要があります。
認定申請には、健康宣言、健康診断受診率、ストレスチェックなど複数の取り組み実績が求められます。何から始めるかは「最初の90日でやること」で整理していますので、あわせてご覧ください。
おわりに
健康経営は「社員の健康のため」が本筋ですが、その取り組みが採用・人材確保の場面で効いてくるのは、経営としてうれしい副産物です。外国人材と長く働いていくためにも、健康で働きやすい職場づくりと、それを示す認定の両方を、計画的に育てていきましょう。
私たちの健康経営ポータルは、認定申請を伴走支援する「認定支援ワークベンチ」を備えています。認定をめざす最初の一歩から、お問い合わせフォームでお気軽にご相談ください。
本稿の内容は執筆時点の公開情報に基づきます。在留資格申請の個別の判断は、出入国在留管理庁の最新の案内や申請取次行政書士等の専門家にご確認ください。
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