「健康経営」と聞くと、専任の保健師がいる大企業の取り組みを思い浮かべるかもしれません。しかし実際は逆です。ひとり抜けただけで現場が回らなくなる中小企業ほど、従業員の健康は経営に直結します。そして、始めるのに大がかりな投資は要りません。この記事では、最初の90日で土台をつくる段取りを整理します。
最初の一歩は「健康宣言」から
何から始めるか迷ったら、答えは決まっています。加入している保険者(協会けんぽ等)の「健康宣言事業」への参加です。費用はかからず、手続きも難しくありません。
これを最初に置く理由はふたつあります。ひとつは、経営者が「うちは健康に取り組む」と宣言することで、社内に説明がつくこと。もうひとつは、将来健康経営優良法人(中小規模法人部門)を申請する際の前提条件になっていることです。つまり、どのみち通る道なら最初に済ませておくのが得策です。
数字は、まずひとつだけ
健康経営というと施策のアイデアが先行しがちですが、最初に見るべきは数字です。とはいえ、あれこれ集める必要はありません。「健康診断の受診率」をひとつ目のKPIにしてください。
定期健診は法律上の義務であり、優良法人認定でも重視される基本項目です。全員が受けているか、受けっぱなしで再検査を放置していないか——ここを把握するだけで、自社の現在地はかなり見えてきます。受診率が100%でないなら、まずそこを埋めることが最初の施策になります。
「続く仕掛け」を小さく始める
90日のうちに、何かひとつ従業員参加型の取り組みを始めてみましょう。ウォーキングでも、朝のラジオ体操でも、内容は立派でなくて構いません。大事なのは「続くかどうか」です。
健康施策の最大の敵は、初月だけ盛り上がって消えていくことです。担当者が毎回旗を振らなくても回る形——たとえば記録が自動で残る、ゲーム性がある、毎日開きたくなる——を最初から意識しておくと、負担なく定着します。
90日の目安
| 1か月目 | 健康宣言への参加、社内への表明、担当の決定(兼務で可) |
|---|---|
| 2か月目 | 健診受診率の把握、未受診者への声かけ、産業保健の相談先確認 |
| 3か月目 | 従業員参加型の取り組みをひとつ開始、次年度の計画を素描 |
ここまでできれば、土台は完成です。その先に見据えたいのが健康経営優良法人の認定です。採用や取引での信用に加え、外国人材の就労ビザ手続きの優遇など、実利のある制度です。申請受付は例年夏から秋。90日の土台があれば、十分に射程に入ります。
おわりに
健康経営は、突き詰めれば「人を大切にする経営を、かたちにする」ことです。中小企業には専任担当がいない代わりに、経営者の決断がすぐ現場に届くという強みがあります。90日あれば、会社の空気は変わり始めます。
私たちは、認定取得まで伴走する健康経営ポータルで、担当者が兼務でも「続く」健康経営をご支援しています。はじめの一歩のご相談も、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
本稿の内容は執筆時点の公開情報に基づきます。健康宣言事業の内容は保険者により異なります。
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