保険者機能強化推進交付金(2018年度創設)と介護保険保険者努力支援交付金(2020年度創設)。いわゆる「インセンティブ交付金」は、毎年度の評価指標への取組状況に応じて市町村に交付されます。

多くの自治体で、この制度は「毎年、担当が得点表を埋めて提出して終わり」になりがちです。忙しい中で調書を仕上げること自体が目的化してしまう——責められない話です。ただ、第10期計画づくりが動き出したいまだからこそ、お伝えしたいことがあります。この得点表は、第10期計画の自己診断ツールとして使えるのです。

得点表は「通知表」ではなく「地図」

発想を変えてみてください。評価指標とは、国が「保険者としてここまでやってほしい」と考える取組の一覧です。ということは、得点できていない項目のリストは、そのまま自分の自治体の伸びしろのリストでもあります。

第10期の施策を考えるとき、白紙から発想するのは大変です。それよりも、まず「取れていない項目」を眺める。そこには、国の期待と自分のまちの現在地のギャップが、すでに項目別に整理されて並んでいます。使わない手はありません。

半日でできる、得点表の読み解き方

分析といっても、大がかりな作業は要りません。おおよそ半日で、次のように進められます。

まず、直近3年分の得点表を並べて、取れていない項目と失点が続いている項目に印をつけます。単年度では気づけない「ずっと弱いまま」の領域が見えてきます。

次に、比較の目を入れます。全国平均や都道府県平均、人口規模の近い近隣自治体と見比べると、自分のまちが相対的に弱い領域——たとえば介護予防なのか、給付適正化なのか、認知症総合支援なのか、人材確保なのか——が浮かび上がります。

そのうえで、取れていない理由を書き出して分類します。「体制がない」のか、「データが取れていない」のか、「取組はあるが要件を満たしていない」のか。この分類が重要なのは、種類によって第10期での打ち手がまったく違うからです。体制がないなら計画で体制整備を位置づける、データがないなら把握の仕組みから作る、要件を満たさないだけなら運用の微修正で拾える——同じ「失点」でも対処はさまざまです。

最後に、弱い領域を第10期の重点施策・目標値の候補に翻訳します。ここまでくれば、策定委員会に出す資料が1枚できあがっているはずです。

計画とつなげば、毎年の調書も楽になる

もうひとつ、実務的なメリットがあります。交付金の評価指標と計画の施策を対応表にしておくと、毎年度の調書作成が計画の進行管理と一体化します。「調書のための作業」が「計画の点検作業」を兼ねるようになり、二度手間が消えるのです。増収分の使い道を介護予防や人材確保への充当として計画に位置づけておけば、庁内の説明もとおりやすくなります。

おわりに

交付金の得点表は、ともすれば「毎年やってくる面倒な宿題」です。けれど視点を変えれば、これほど親切な計画づくりの道しるべもありません。国が論点を整理し、比較データまで用意してくれているのですから。

まずは直近の得点表を机に出して、取れていない項目に印をつける。今日できるのは、それだけで十分です。その小さな一歩が、3年間の計画の説得力につながっていきます。日々の業務と並行して計画に向き合うみなさんを、心から応援しています。

得点分析の壁打ち相手が必要でしたら、お問い合わせフォームからご相談ください。

本稿の内容は執筆時点の公開情報に基づきます。評価指標・交付額は年度により変わるため、最新の国の通知をご確認ください。

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