「AIがコードを書ける」という話は、もう珍しくありません。ただ、この1〜2年で起きた変化の本質は、あまり知られていないように思います。変わったのは「書ける」から「任せられる」へ——AIの働き方そのものです。この記事では、実際に自社のWebサイトやサービス紹介ページをAIで内製した経験から、いまのAIコーディングの実力と限界を整理します。

「補完」から「エージェント」へ

少し前まで、AIコーディングといえば、チャット画面にコードを貼り付けて修正案をもらう使い方が主流でした。便利ではあるものの、コードをコピーして戻し、動かして、エラーをまた貼り付けて……という往復は人間の仕事でした。

いまの主役は「エージェント型」と呼ばれるツールです。代表格のひとつがAnthropic社のClaude Codeで、指示を出すと、AIが自分でファイルを読み、コードを書き、実行して結果を確かめ、エラーが出れば自分で直します。人間の役割は「何を作りたいかを伝えること」と「できあがったものを確認すること」に変わりました。

実際に、どこまで作れたか

私たちは自社で試しました。会社のWebサイトの全面リニューアル、サービス紹介ページ、お問い合わせフォームの仕組み、営業用のPDF資料——これらを外部の制作会社に発注せず、AIとの対話だけで内製しています。いまご覧いただいているこのサイト自体が、その成果物です。

体感として大きいのはスピードです。従来なら見積もりを取り、要件を伝え、数週間待つところが、思いついたその日に形になり、翌日には修正まで終わります。「ここの文言を変えたい」「この項目を目立たせたい」という小さな修正のたびに外注する必要がなくなったことは、費用以上に運用の質を変えました。

向いている仕事、人が担う仕事

もちろん、万能ではありません。経験から言えば、AIが得意なのは「要件がはっきりした、形のある成果物」です。Webページ、業務の自動化スクリプト、データの集計・整形、書類のひな形づくり。この領域では、すでに実用を超えて主力です。

いっぽうで、「何を作るべきか」を決めるのは変わらず人間の仕事です。誰に何を伝えるサイトなのか、業務のどこを自動化すべきか、公開してよい情報はどこまでか。AIは決めたことを形にする速度を劇的に上げますが、決めること自体は肩代わりしません。セキュリティや公開範囲の最終判断も同様です。ここを混同すると、速く間違った方向に進むことになります。

中小企業がまず試すなら

いきなり基幹業務に入れる必要はありません。おすすめは、壊れても困らない小さな社内ツールから始めることです。たとえば、毎月手作業でやっているスプレッドシートの集計を自動化する。定型の案内文書のひな形を作る。既存の仕組みに触らない範囲なら、リスクを抑えて「任せられる感覚」を体験できます。

その体験が、次の判断——どこまで内製し、どこから専門家に頼むか——の物差しになります。

おわりに

「AIでコードが書ける時代」は、エンジニアのいない会社にこそ恩恵があります。これまで諦めていた「うちにはこういうツールがあったら便利なのに」が、現実的な選択肢になったからです。まずは小さくひとつ、試してみてください。

何から手を付ければよいか迷う場合は、AI・業務効率化支援のページもご覧ください。自社で作って運用しているからこそお伝えできる、現実的なご提案をしています。ご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。

本稿の内容は執筆時点の情報と自社での実践経験に基づきます。ツールの機能・料金は変化が速いため、最新情報は各提供元をご確認ください。

← コラム一覧へ戻る